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偶然

最終更新: 2019年8月4日






話しはかなり長くなります。

数年前より銀座の顔となった銀座SIX、ゲストの方との会話の流れから お子さんのピアノのコンクール出場のため銀座へ行かれたという話しとなりました。

そのゲストの方が、思いもよらぬ出会いを経験したと。

お子さんの誕生日を祝うため 山間部にほど近い田舎に住んでいる お婆ちゃんの家に皆んな集まる事となり、向かっている途中 ふと立ち寄ったのが かなり古い店構えの 昔ながらの楽器店。

ご老人が経営しているその楽器店の片隅には、ホコリまみれの 布に覆われたピアノが置いてありました。 あまりも気になったので店主に許可を得て布をめくると

100年程前にドイツで製作された ベヒシュタイン・グランドピアノでした。 ずっと探していたベヒシュタインに 息が出来ないほど驚き お子さんと顔を見合わせたそうでした。

最終的にはお子さんが現在使っている お爺ちゃんから譲り受けたピアノと交換して頂き、長い付き合いで信頼出来る調律師にお願いした結果が、 最高のコンディション ベヒシュタイン ・・ これが偶然の出会いだったと。

爺ちゃんは既に12年前、80歳で他界したそうでしたが戦前にピアノを弾いていたとは驚きでした。

何となく気になったので、お爺ちゃんはどんな人だったのか興味が湧き質問すると、法律関係の仕事をしていた厳格印象だったらしいのですが、何より お婆ちゃんを愛していていましたが、晩年は認知症となり家族の事もお婆ちゃんの事も忘れてしまったらしいのです。

かすかな記憶なのか・・お見舞いに来る 自分の奥さんに(お婆ちゃん)向かって『結婚されてるのですか?』と尋ねるそうで。

お婆ちゃんは『はい』と お爺ちゃんはがっくり・・・

お爺ちゃんが続けて『お子さんいらっしゃるのですか』 お婆ちゃん『はい 5人程』 肩を落としがっくり項垂れるお爺ちゃん 。

時には 施設のお爺ちゃんを一時 帰宅させ、お孫さんも含めた大勢で食事をする機会が有りましたが、こんな時は決まって 最後にはお爺ちゃんが一言 『見ず知らずの私をこんなにおもてなし頂きありがとうございます』とそして最後には決まって 大好きなお婆ちゃんの手を握りながら

私はこれから 長崎に帰ります

一緒に来て頂けませんか ・・・

昨日の記憶は無いお爺ちゃんの 毎日毎日はこの様でしたが、やがてお爺ちゃんが亡くなり プロポースされる事もなくなったお婆ちゃんは 寂しそうだったと言っていました。

お爺ちゃんの名前は 勇(いさむ) ゲストのご主人は 功 (いさお) お婆ちゃんは時々間違えて名前を呼ぶそうですが嬉しそうに呼ぶとの事です。

この話の原点は、私が勤務したpeek a booは 銀座SIX に出店しましたから始まった銀座繋がりからの話でしたが、ゲストの方には良い話を聞かせて頂きました。



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